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June 2023

June 30, 2023

『平家物語(二)』

HMVネット購入。2021年4月15日注文。

書名:平家物語(二)
校注者:梶原正昭・山下宏明
出版:岩波文庫(1999年8月第1刷)

《目次》

凡例

【巻 第四】平家と以仁王

厳島御幸(いつくしまごこう)
還御(かんぎょ)
源氏揃(げんじぞろえ)
鼬之沙汰(いたちのさた)
信連(のぶつら)
競(きおう)
山門牒状(さんもんちょうじょう)
南都牒状(なんとちょうじょう)
永僉議(ながのせんぎ)
大衆揃(だいしゅぞろえ)
橋合戦(はしがっせん)
宮御最期(みやのごさいご)
若宮出家(わかみやしゅっけ)
通乗之沙汰(とうじょうのさた)
鵼(ぬえ)
三井寺炎上(みいでらえんしょう)

【巻 第五】福原遷都と頼朝挙兵

都遷(みやこうつり)
月見(つきみ)
物怪之沙汰(もつけのさた)
早馬(はやうま)
朝敵揃(ちょうてきぞろえ)
咸陽宮(かんようきゅう)
文学荒行(もんがくあらぎょう)
勧進帳(かんじんちょう)
文学被流(もんがくながされ)
福原院宣(ふくはらいんぜん)
富士川(ふじがわ)
五節之沙汰(ごせつのさた)
都帰(みやこがえり)
奈良炎上(ならえんしょう)

【巻 第六】高倉上皇・清盛の死と木曾義仲

新院崩御(しんいんほうぎょ)
紅葉(こうよう)
葵前(あおいのまえ)
小督(こごう)
廻文(めぐらしぶみ)
飛脚到来(ひきゃくとうらい)
入道死去(にゅうどうしきょ)
築島(つきしま)
慈心房(じしんぼう)
祇園女御(ぎおんにょうご)
嗄声(しわがれごえ)
横田河原合戦(よこたがわらのかっせん)

〔付図〕
 源氏系図

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June 21, 2023

『平家物語(一)』

2021年にブックオフで108円で買ったようです。(二)以降は新品をネットで購入しています。

書名:平家物語(一)
校注者:梶原正昭・山下宏明
出版:岩波文庫(1999年7月第1刷)

《目次》

凡例

【巻 第一】

祇園精舎
殿上闇討

禿髪
吾身栄花
祇王二代后
額打論
清水寺炎上
東宮立
殿下乗合
鹿谷(ししのたに)
俊寛沙汰 鵜川軍
願立
御輿振(みこしぶり)

【巻 第二】

座主流
一行阿闍梨之沙汰
西光被斬(さいこうがきられ)
小教訓
少将乞請
教訓状
烽火之沙汰
大納言流罪
阿古屋之松
大納言死去
徳大寺厳島詣
山門滅亡 堂衆合戦
山門滅亡
善光寺炎上
康頼祝言
卒都婆流
蘇武

【巻 第三】

赦文
足摺
御産
公卿揃
大塔建立
頼豪
少将都帰
有王
僧都死去

医師問答
無文
灯炉之沙汰
金渡
法印問答
大臣流罪
行隆之沙汰
法皇被流
城南之離宮

〔付図〕
 天皇系図
 平氏系図

琵琶法師の『平家物語』(山下宏明)

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June 14, 2023

山本章子『日米地位協定』

HMVネット購入。2022年4月17日注文。

書名:日米地位協定 在日米軍と「同盟」の70年
著者:山本章子
出版:中公新書(2019年5月初版)

《目次》

はじめに

第1章 占領から日米安保体制へ—駐軍協定

/占領軍の実態/米軍の駐留と講和条約の条件/日米安全保障協定案—日米行政協定の起源/「駐留」明記を避けたい日本/米国の対案、日米行政協定へ/国務省と国防省の対立/リッジウェイの介入とトルーマンの決定/日米行政協定締結—岡崎・ラスク交換公文の問題点/NATO軍地位協定の発効/裁判管轄権の再交渉/第一七条の修正へ/駐留米軍への大きな反発/反基地闘争の高揚/砂川闘争と鳩山内閣の苦悩/

第2章 60年安保改定と日米地位協定締結—非公開の合意議事録

/ジラード事件/安保改定への始動/米軍基地削減へ—1957年の日米共同声明/基地労働者解雇、厚木基地拡張/スプートニク・ショックー核戦争への恐怖/安保改定への岸の決意/
{・・・当初、岸が全面改定ではなく部分的な見直しを考えたのは、1955年に訪米した重光葵外相が、岸も同席したダレス国務長官との会談で全面改定を申し入れた際、憲法九条があるかぎり日本と対等な相互防衛条約を結ぶのは不可能、とやり込められた記憶があったからだ。・・・}
/日本世論の中立主義/統合参謀本部の安保改定同意と条件/予想外の日米行政協定全面改定へ/マッカーサー、日米行政協定改定に動く/外務省の検討—日米行政協定改正案とは/西ドイツ補足協定並みに—基地管理権をめぐる交渉/非公開の合意議事録の作成へ/日米行政協定の全面改正、日米地位協定へ/最終決着—日本の譲歩/日米合同委員会/
{・・・明田川も記しているように、日米合同委員会は日米両政府の協議機関だが政府間の新たな合意を決定する権限はない。合意には別途、正式な閣議決定や通常の政府代表者同士の合意が行われる必要がある。つまり、日米合同委員会の場で日米「密約」が結ばれることはないのだ。
では、なぜ日米合同委員会が「密約製造マシーン」「ブラックボックス」と呼ばれるのか―。それは2004年まで非公開だった日米地位協定の合意議事録にもとづいて、協定本文の規定に反する運用が行われてきたからである。日米安保条約改定時に国会で審議されなかった合意議事録に従った日米地位協定の運用が、日米合同委員会で確認されてきたことが、合意議事録の内容を知らない日本国民の目からは、あたかも日米合同委員会の場で「密約」が生れているかのように見えているのだ。}
/新安保条約の前に霞んだ国会審議/他の同盟国の場合—西ドイツ、フィリピン/

第3章 ヴェトナム戦争下の米軍問題—続発する墜落事故、騒音訴訟

/厚木基地の騒音被害/ヴェトナム戦争と厚木基地の米軍機事故/規定のない飛行訓練—日米地位協定の盲点/平時と有事の区別がない―NATO諸国との違い/自由に飛べる—米軍訓練への日本法令適用除外/ヴェトナム戦争中の戦車移動/米軍基地縮小—ジョンソン・マケイン計画/幻の横須賀・厚木基地返還/基地の日米共同使用の実態/

第4章 沖縄返還と膨大な米軍基地—密室のなかの五・一五メモ

/沖縄での米軍基地拡大/沖縄返還合意までの道程/「本土並み」の障害—米軍の全島基地方式の要望/「岡崎・ラスク方式」回避の追求/米軍部の執拗な抵抗/北部訓練場/日本側の抵抗—北部訓練場整理縮小の試み/那覇周辺施設への絞り込みへ/沖縄返還協定―先送りされた基地の整理縮小/非公表の五・一五メモ—返還前と同様の基地使用/五・一五メモの二つの問題/返還後の在沖米軍基地整理縮小—巨額な日本の負担/

第5章 「思いやり予算」の膨張—「援助」の拡大解釈

/「思いやり予算」の起源/外務省の難色—労務費の日本負担/防衛庁の理解—負担受け入れへ/「大平答弁」の拡大解釈へ/「思いやり予算」の開始/日米貿易摩擦と「思いやり予算」の膨張/膨張と拡大—「思いやり予算」の推移/冷戦終結—揺らぐ在日米軍の意義/湾岸危機の勃発—基本給、光熱水料の負担へ/日本の経済・財政と連動する負担/「思いやり予算」とは別の在日米軍関係経費/

第6章 冷戦以後の独伊の地位協定—国内法適用を求めて

/ドイツ補足協定—統一後の改定の動き/NATOの域外派兵という追い風—1991年からの開始/新補足協定—ドイツ国内法令適用の拡大/譲らない裁判管轄権/イタリア国内の米軍基地と協定/イタリア基地協定の背景/イタリア基地協定の詳細と問題点/

第7章 沖縄基地問題への注目—度重なる事件、政府の迷走

 1 二度の改定要求の機会—独、伊、韓国との岐路

 /改定要求の二度の機会—湾岸戦争と北朝鮮危機/なぜ日米地位協定改定が議論されなかったのか/少女暴行事件/基地撤去論への危機感と世論/外務省の危惧—最悪の日米関係/大田知事の代理署名拒否/防衛庁主導の沖縄特別行動委員会(SACO)設立/日米安保の本質—同盟と米軍駐留が分離できない/カードとしての普天間返還/

 2 沖縄から米国への改定要請—地位協定への自治体関与

 /太田県政の地位協定見直し要請/高まる不満—在沖米軍基地の環境汚染/稲峰恵一知事の苦悩/稲峰県政の日米地位協定改定案/米国の改定案提案についての認識/沖縄国際大学ヘリ墜落事故/環境補足協定/軍属による犯罪—軍属補足協定/2016年12月のオスプレイ墜落事故/翁長県政の地位協定改定要求/

終 章 日米地位協定のゆくえ―改定の条件とは

/米軍はなぜ日米合意を守らないのか/
{・・・報告書によれば、同盟国との間で締結した地位協定の問題を扱うのは、米政府のなかでも国務省と米国務省・米統合参謀本部だが、両省とも、地位協定の担当部署の人員はごくわずかしかいない。担当に任命されるのは長年のキャリアを積んだ専門家だが、二、三年で配属が変わり、引き継ぎがしっかりとされていない。
また、地位協定にかかわる問題が起きたとき、米軍を受け入れている国との最初の窓口は現地の大使館だが、国務省は地位協定に関する経験を積ませないまま各国大使館に人を派遣してきた。したがって、大使館の人間は地位協定に関する知識がなく、政策上の優先度も低く見ている。
こうした環境はさらに悪化している。2017年1月に発足した米国のドナルド・トランプ政権は、各省の政治任用の政府高官の任命を遅らせる中で、とりわけ国務省を冷遇し、国務省の本来の職務を無視した大統領令を発令してきたからだ。
国務省で、国防総省とのやりとりも含めて地位協定の問題を扱うのは政軍局である。オバマ政権からトランプ政権でも引き続き、ティナ・カイダナウ国務次官補代理が政軍局を統轄したが、トランプ大統領は、国務省の人員を大幅に縮小して同省予算を削減。その分を国防予算に充てる方針をとっている。
レックス・ティラーソン国務長官はトランプの方針に従って、国務長官への助言を行う政策企画局(PPS)に人員を集中し、そのほかの部署の人員のリストラを進める「改革」に邁進した。国務長官がマイク・ポンペオに代っても、国務省の予算削減方針は変わらず、政軍局も含めて国務省は通常業務を満足に行えない状況に置かれた。
そのうえ、トランプ大統領は2017年後半に入ると国務省に同盟国への米製武器の売り込みを命じた。武器メーカーとの打ち合わせや、武器の売り込みのための韓国・フィリピン訪問などに追われているカイダナウに、地位協定の問題を検討する時間はあまりないだろう。
国防省で地位協定を担当するのは政策担当国防次官だが、ブッシュ(子)政権で国務次官補や国務次官代行を務めたジョン・ルードが、トランプ政権の政策担当国防次官に任命されたのは2018年1月9日。トランプ大統領就任後、約一年間、地位協定の担当者は不在だった。
日米地位協定を含め、地位協定の問題に関する引き継ぎや業務をきちんと行っていない米国政府が、日米間の過去の合意を守らないのはある意味、当然の帰結といえよう。日本政府は繰り返し、過去の合意を米国側に周知し、その遵守を求めるところから始めなければいけないのだ。}
/「NATO並み」の壁と実態/
{・・・NATO諸国だけが互恵性のある地位協定を米国と結んでいるのは、米国並みの民主主義的かつ人権を尊重した国内法を持つと認められているからだ。
翻って日本はどうか。国際人権NGOのアムネスティ・インターナショナルは、日本政府に対して繰り返し国内人権機関の設置、死刑制度の廃止、移民・難民の権利保護、ヘイトスピーチなどの人種差別への十分な対応などを求め、対応しないことを批判してきた。また、国連人権規約委員会は、日本の代用監獄制度や取り調べの際の強制自白などを強く批判している。
このように日本は、国際社会から人権問題で批判されてきた。ドイツやイタリアのように、米軍訓練の規制や基地周辺の環境保護などが可能な日米地位協定を求めるには、日本はまず欧米並みの民主主義的な制度や法律の整備から始めなければならない。
もっとも日米地位協定で、すでに「NATO並み」を達成している規定もある。刑事裁判権について定めた第17条である。ただし、「NATO並み」に日本に有利な内容ということではなく、「NATO並み」に不平等なものとなっているという意味だ。・・・}
/米軍の裁判管轄権重視/
{米国が他国に駐留する米軍の取り扱いを定めた地位協定の規定のなかでも、とりわけ裁判管轄権にこだわってきたのは、外国で罪を犯して捕えられた米兵・軍属がその国の裁判所で裁かれる場合に、人権が守られない可能性について米国世論が過敏に反応するからだ。・・・
2015年1月に米国務省が発表した「地位協定に関する報告書」は、なぜ米国政府が地位協定のなかで刑事裁判権に高い優先度を与えるのか、本音に近い理由を説明している。米兵・軍属が外国で「不公正」な司法制度によって裁かれた場合、米国政府が国民の支持を得て海外に軍を展開できなくなる可能性があるからだという。
米国は建国から第二次世界大戦まで、戦時を除いて同盟国を持たない「孤立主義」の国家だった。ソ連との冷戦を戦うために世界中に同盟国を求め、海外基地ネットワークを張りめぐらせても、孤立主義の考え方は国民の間で根強く支持されている。米国政府にとって、同盟国との地位協定で米国に有利に規定した裁判管轄権は、国内世論の孤立主義を刺激しないための安全弁なのである。}
/在日米軍基地への国内法適用/
{・・・ドイツ統一によって在独NATO軍が占領軍としての性質を失ったとき、新生ドイツは自国軍とNATO軍の一体性を活かして補足協定を改定させた。駐留軍に対する国内法の適用範囲を広げることで、駐留軍の訓練や環境保護に関する規制を強めたのだ。
日本の場合には、憲法九条とこれを支持する世論のもとで防衛関連の法律の整備が不十分な状態が続いてきた。しばしば「日米地位協定は日本の主権の問題」といわれるが、仮に日本の主権を守るべく在日米軍・基地に日本の国内法を適用しようとしたとき、はたして国内法で在日米軍の活動や基地の運用をカバーできるのだろうか。
イタリアは、ドイツよりもさらに駐留米軍に対する国内法の適用範囲が広い。イタリアがNATO軍地位協定とは別に米国と結んだ二国間協定では、ほぼすべての事項について、米軍の権利よりもイタリアの主権が優先されている。ただし、この二国間協定は、先述したようにあくまで「平時」の適用が条件になっている。米伊両国が緊急事態だと認めた場合には二国間協定ではなくNATO軍地位協定が適用され、米軍の権利はより広く認められる。
翻って日本では、米軍はどんな時でも非常事態、緊急事態を前提とした基地の使用を認められている。常に有事を想定した米軍の訓練が、在日米軍基地内にとどまらず日本上空や領海でも実施されているのである。そのため、騒音などの被害や事故も多い。
もし日米地位協定が平時と有事の二段構えになれば、有事を想定した昼夜を問わない在日米軍の訓練は大きく規制されるだろうか。現在の安倍晋三内閣の安全保障政策を見る限り、あまり期待できそうにない。
安倍政権は、尖閣諸島周辺の接続水域への中国船侵入を重大視し、また北朝鮮の核ミサイル実験に対してJアラートや避難訓練を実施し、これらの脅威を「国難」と呼ぶ解散総選挙を行ってきた。平時を有事であるかのように喧伝する政府のもとで、はたして平時を前提とした日米地位協定の規定が運用されるだろうか。
結局、問われるのは国の安全保障観であり、それを支える世論なのである。}
/日米地位協定の改定交渉の条件/在日米軍の特権を記した合意議事録の撤廃を/

あとがき

参考文献
【付録】/沖縄県による日米地位協定見直し要請/日米地位協定/日米安全保障条約(新)/
日米地位協定 関連年表

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June 07, 2023

小熊英二『誰が何を論じているのか』

HMVネット購入。2023年2月7日注文。

書名:誰が何を論じているのか 現代日本の思想と状況
著者:小熊英二
出版:新曜社(2017年8月第1刷)

《目次》

読者の方々へ

※各章の下の名前の方々はその章のテーマを論評した記事/論考の主な執筆者

1「政治の対立軸」はいかにして可能か  ―経済政策と労働改革
    /宇野重規/飯田泰之/細野豪志/濱口桂一郎/

■選挙に頼れない今、対話を

2 立憲主義とはなにか  ―自殺・うつ病・財政、そして民主主義
    /北中淳子/神野直彦/M・ブリス/想田和弘/

3 ポピュリズムを呼びこむもの  ―「橋下現象」と自民党改憲草案
    /村澤真保呂/木村幹/小林節/宇野重規/

4 「アベノミクス」への評価  ―リフレ政策をめぐる緒論
    /P・クルーグマン/伊東光晴/柳澤協二/寺島英弥/

5 猫が読んだ憲法論議  ―中東地域研究と知識人たちの憲法観
    /佐伯啓思/大塚英志/内橋克人/A・ビナード/

{・・・じつをいえば、日本は君臣一体の家族国家だから法はいらない、というのは明治期の国体論の定石である。国体論者たちによれば、権力を縛ったり、民を縛ったりする法というものは、中国やヨーロッパのように、多様な異民族を支配する王朝が必要とするものだ。しかし日本は、天孫降臨以来の家族国家であり、君主と臣民のあいだは権力関係ではなく親子の情愛であり、したがって法は必要ない。なぜなら権力そのものが日本にはないのだから、というのである。これが、加藤弘之、穂積八束、から、和辻哲郎・津田左右吉のような象徴天皇制論者、高群逸枝や宮沢賢治のような農本無政府主義者までを貫く、近代日本の基本思想である。ここから、家長が責任統治する保守主義思想と、法と権力の不在を夢みるアナーキズムが、二大潮流として出現する。
そこから考えるに、現在の改憲論というのはじつは「廃憲論」であり、九条に限らずあらゆる束縛を逃れて好き放題にやりたい、という願望の表現なのだろう。憲法とは国民に義務と道徳を説く「お触書」であり、それゆえ国民はそれを尊重する義務があるが、お触書を自由に発議するのは簡単にしたい、というのが「九六条改憲論」の本質だと考えられる。その口実として、古くなったとか、状況にあわなくなったとか、行政府や立法府の役割放棄としか思えないような理屈がつくだけである。
これは明らかに近代法治国家の否定、というより「法というものが何だかわかっていない」ということであり、小林節や木村草太でなくとも、まともな法学者なら誰も相手にしない。・・・
法というものは、人間の上位にあるものである。それが仏法やイスラム法のように神が決めた掟なのか(神法)、個々の人間を超えた歴史や慣習の重みなのか(慣習法)、自由や人権といった普遍的真理なのか(成文法)、個々の人間をこえた一般意志なのか(国民主権)、単に人間の理性能力が信頼できないから暫定的に設けたルールなのか(法実証主義)、については法学のなかに諸説がある。いずれにせよ、「なぜ法があるのか」といえば、「人間は不完全だから」「人間は間違うことがあるから」というのが大前提である。権力者や民衆がまちがわないなら、法などいらない。
要するに、「人間を超えた規範」が法なのだ。そうだとすると、近代日本の思想は、「民衆はバカだが権力者はまちがわない」「権力者は信用できないが民衆は賢い」という対立軸をいったりきたりしていたが、「人間を超えた規範」の必要性を深く考えてこなかったといえるかもしれない。逆にいえば、「法とは何か」を考える習慣がなかったから、同じ対立軸をいったりきたりしていたのだ、ともいえるのかもしれないが。・・・}

6 身近な「停滞ニッポン」  ―婚活、ヤンキー、シルバー民主主義
    /蓑輪明子/綾屋紗月/斎藤環/速水健朗/

7 連帯をもたらす経済  ―日中関係、財政、税制
    /時殷弘/古木杜恵/神野直彦/藤吉雅春/

■「脱原発」実現しつつある日本

8 「悪の凡庸さ」  ―ヘイトスピーチ、安保基本法、ロボット戦争
    /丸山真男/五野井郁夫/川口創/谷口長世/

9 構造改革と原発  ―金融緩和と産業政策
    /岩田規久男/本山美彦/小林慶一郎/泉田裕彦/

10 メキシコからの視点  ―尖閣諸島、選挙制度改革、AKB48
    /五百旗頭真/片山善博/山口二郎/杉田敦/

{・・・ことに杉田の論文でおもしろいのは、民主化が進んだ20世紀になっても古典的な政治学が生き残っていたのは、主権の存在によって権力の領域が限定されていたからだという視点である。<br>古典的な政治の概念からすれば、政治と主権は相性が悪い。主権とは、一つの国境内限定の神であり、貨幣も鋳造できれば、戦争も死刑も実行できる(殺人や貨幣鋳造をやっても罪に問われないのは主権だけである)。ただし国境内限定の神なので、普遍的絶対神ではないから、神同士が交渉して「国際政治」を行なうことは可能である。そして国内においては、18世紀の社会契約論以降に、主権を委託された議会というフィクションが成立し、ここに討議の領域とメンバーシップを限定した「政治」と、国境内の神である「主権」の両立が成し遂げられた。そして主権に正統性を与えるという一点において、政治の領域をはみ出して暴走しない範囲でならば、民主主義は政治に許されたというわけだ。<br>しかし杉田によれば、この前提は崩壊しつつある。民主主義にもとづく主権が、選挙を通じて議会制という限定領域に仮託され、その限定領域において政治学が成立するという構図は、現代では通用しない。なぜなら、経済のグローバル化やタックス・ヘイブン、それらを原因とする雇用の不安定化、そして環境や放射能の長期的問題は、空間軸においても時間軸においても、主権が制御できる範囲を超えているからだ。人々は、自分たちが「民意」を委託したはずの主権が無力であることにいらだち、政治の正統性は低下する。<br>こうして正統性を失い、固有領域を失った政治のありさまが、杉田のいう「政治の周辺化・脱領域化」である。これは私が考えてきた、代表制の機能不全から代議制が行き詰まるという視点とは別だが、教えられるところが多い。<br>杉田の論文は、既存の政治学はもちろん、政治思想史や市民社会論、公共性論にも不十分な点を指摘し、かなり辛口である。これが日本政治学会の報告であり、しかもこうした問題を政治学が直視してこなかったのは、「政治学の存在意義を脅かすのではないか」という「業界の論理」のせいだったという指摘も辛い。ではどうするか、という点については、自分としては昨年に出版した新書で一端を書いたつもりではある。しかし少なくとも、杉田がいうように「決定不能性に目をふさぎ、学術分野に自閉する、という選択肢は論外である」ことは、前提として踏まえねばなるまい。・・・}

{・・・『世界』二月号の小特集「消費増税を問う」では、湖東京至「消費税の何が問題なのか」や山口義行「中小企業を押し潰すアベノミクス」が勉強になった。消費税の批判ではもっぱら逆進性が指摘されるが、それ以前に税の性格がきわめてあいまいで、じつは消費者が負担する間接税ではなく、事業者が負担する事実上の直接税であることが理解されていないという。そのうえ事業者負担の税であっても、大企業は価格転嫁ができるが、中小企業や下請け企業はそれができない。しかも最終輸出者である大企業には、輸出割戻で膨大な利益がある。つまり、輸出大企業に有利で、中小企業に不利であるのが消費税なのである。そのため納税できない中小企業が多く、滞納がもっとも多い税でもある。<br>消費税は膨大な輸出割戻があり、事実上の輸出企業への補助金だというのは知っていた。しかしそれは「事実上」とか結果論ではなく、もともとフランス政府が1954年にガット協定の輸出補助金廃止の抜け穴として設けたのが付加価値税の起源であるというのは、この論文で初めて知った。・・・}

11 日本の市場構造特性  ―日韓関係、農業改革、「脱成長」
    /木村幹/李元徳/田中洋子/広井良典/

12 耐えて忍んで「教育家族」  ―「解釈改憲」、教育危機、労働環境
    /水島朝穂/佐藤学/木下武男/矢野眞和/

{・・・GDPやインフレ統計や貿易赤字といった経済指標は20世紀前半の産物であり、その創設者たちはこれらの数値の限界をよく承知していた。これらの指標が一般に知られるようになったのは、1970年代以降にすぎない。ところがグローバル化と信用経済の膨張によって、そうした数値が全く実態と合わなくなった時代になっているのに、政府や経済アクターたちはこうした時代遅れの数値に振り回されている。
カラベルは、ビッグデータの時代には各自が自前の指標を生データからテーラーメイドできるので、こうした時代遅れの指標から自由になれという。こうした見方は、アメリカの学者らしい楽観論だが、たしかにそれができる人間は「勝ち組」になれるだろう。視聴率や株価といった、実態を反映していない時代遅れの指標に振り回されている日本の企業経営者はぜひ一読すべきである。資本主義は、社会学的には形式主義的な経路依存であり、信仰の一形態にすぎないというウェーバー以来の視点を補強してくれる論考ともいえる。・・・}

13 「保守化」とは何か  ―集団的自衛権と社会基盤
    /北岡伸一/石破茂/内田裕也/木村草太/

14 統計学は神を降臨させうるか  ―ビッグデータと「地方消滅」
    /西垣通/竹内啓/小島寛之/辻琢也/

15 ウクライナの憂鬱  ―クリミア危機、イスラム国、資本主義
    /宇山智彦/A・リャブチュク/高岡豊/H・デイリー/

16 「保守」の安倍政権批判  ―STAP細胞と「若手研究者の地獄」
    /渡邉恒雄/和田春樹/野家啓一/K・カルダー/

■そんなことしている場合か

17 人権保護こそ地方創生の道である  ―「慰安婦」問題、ブラック企業、地方創生
    /今井隆/小倉和夫/五十嵐泰正/Y・モンク/

18 分裂するアメリカ  ―「中間層」の喪失、戦争の変容
    /G・パッカー/越智道雄/篠田英朗/津上俊哉/

19 政治の危機  ―二〇一四年衆議院選挙、ギリシャ危機
    /柿崎明二/竹中平蔵/P・エレフセリアディス/吉田裕/

20 アベノミクス総点検  ―政党政治、日韓歴史問題
    /御厨貴/R・ツェルナー/毛利和子/高橋洋一/

21 情報過多時代の「反知性主義」  ―「知性」の変容とピケティ
    /T・ピケティ/酒井隆史/上野俊哉/樋口直人/

22 格差の「ニッポン的形態」  ―震災四周年と「科学の中立性」、投票行動分析
    /稲垣文彦/まさのあつこ/添田孝史/菅原琢/

■「ネット右翼」への対処法

23 「働き方改革」と英語教育  ―WE導入、教育格差、沖縄
    /海老原嗣生/岡崎勝/江利川春雄/仲里利信/

24 生きやすい社会とは  ―少子化、ネット依存、「空き家問題」
    /千田有紀/樋口進/清水義次/藻谷浩介/

25 介護破綻と介護難民  ―安保法制、大阪都構想、ダイエット
    /磯崎陽輔/長谷部恭男/増田寛也/日吉野渡/

26 「論壇」という存在の意義  ―安保法制、デジタル変容、「地方移住」、観光ビジネス
    /安倍晋三/辻元清美/藤村厚夫/B・ランバーグ/

27 戦後七〇年とは、建国七〇年のことである  ―「戦後七〇年」とSEALDs
    /樋口陽一/楊大慶/三島憲一/M・ブリス/

■「戦後」とは何なのか

28 共振する社会  ―安保法制、政治とコミュニケーション
    /牧原出/M・バーネット/P・ウォーカー/本間龍/

29 環境破壊と難民問題  ―労働運動再考、流通とコンビニ
    /A・シナイ/浅見和彦/木下武男/新雅史/

30 公明党の軌跡  ―シリア内戦、介護離職、貧困LGBT
    /御厨貴/東順治/黒木英充/吉崎達彦/

31 日本の政治意識と社会運動  ―報道の自由、女性の政治進出
    /吉田徹/鈴木秀美/大山礼子/野口悠紀雄/

32 EUとイスラム  ―解雇と連帯感覚、オリンピック、新エネルギー
    /冷泉彰彦/N・ウッズ/K・マリク/神林龍/

33 死刑の比較政治学  ―格差と「下流老人」
    /佐藤舞/千葉景子/F・ブルギニョン/春日キスヨ/

■「無難」な報道機関必要か

34 ただいまベルリン  ―世界経済、政治の構造変動、住宅政策
    /L・サマーズ/R・イングルハート/平山洋介/坂口一樹/

事項索引
人名索引
装幀―難波園子

 

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June 01, 2023

ジャック・モノー『偶然と必然』

この本は1979-1980年に購入した模様。多分名古屋市千種区で。その時に読んだ可能性もあるが、今回読んでみて何一つ思い出すことがないところをみると買っただけだったかもしれない。。。しかし44年前だからな。。。

読後感。遺伝子に関する話はわかりやすくて良い本だと思います。合目的的というところは、もひとつわかりにくいですが。というのは偶然の支配する世界で合目的的というのはなんぞや、と思うからです。目的というからにはそこに何らかの意志の働きがあると思うんですね。あと、哲学的な部分は幼稚。書かずもがな、という感じです。出版当初はその部分が反響を呼び大論争になったらしいですが。。。要は科学万能主義ということで、人間であることをやめることが最終目標という結論に導かれそうです(笑)。素朴な思想ということでチョムスキーと通じるものがあります。二カ所ほど彼に言及していることろもあります。数学的思考しかできない人たちの限界が見えておもしろいです。昨今のAIブームでこういう考え方もまたぞろ復活している感がありますが。。。

書名:偶然と必然
著者:ジャック・ルシアン・モノー
訳者:渡辺格(いたる)、村上光彦
出版:みすず書房(1972年10月第1刷)、原著は1970年

《目次》

序文

I ふしぎな存在

/自然のものと人工のもの/宇宙プログラムの困難/計画を授けられた物体/自分自身をつくりあげる機械/自己を複製する機械/ふしぎな特性——不変性と合目的性/不変性の〈矛盾〉/合目的性と客観性の原理/

II 生気説と物活説

/不変性と合目的性とのあいだの優先関係——基本的ジレンマ/形而上学的生気説/科学的生気説/《物活説的目的》と《旧約》/科学的進歩主義/弁証法的唯物論における物活説的意図/批判的認識論の必要/弁証法的唯物論の認識論としての破たん/人間中心主義の幻想/生物圏——第一原理から演繹できない独特の発生/

III マクスウェルの魔物

/構造的かつ機能的合目的性の分子因子としてのタンパク質/特異的な触媒としての酵素タンパク質/共有結合と非共有結合/非共有結合でつくられる立体的特異性をもつ複合体という概念/マクスウェルの概念/

IV 微視的サイバネティクス

/細胞装置の機能的首尾一貫性/調節にあずかるタンパク質と調節の論理/アロステリック相互作用の機構/酵素合成の制御/無根拠性という概念/《全体論》と《還元論》/

V 分子個体発生

/オリゴマー・タンパク質におけるサブユニットの自発的集合/複合粒子の自発的構造形成/微視的形態発生と巨視的形態発生/タンパク質の一次構造と球状構造/球状構造の形成/後成的に《豊になる》という偽りの逆説/合目的的構造の最後の議論/メッセージの解釈/

VI 不変性と擾乱

/プラトンとヘラクリトス/解剖学的な不変性/化学的な不変性/基本的不変要素としてのDNA/暗号の翻訳/翻訳の非可逆性/微視的な擾乱/操作上の不確定性と本質的な不確定性/開示ではない絶対的創造としての進化/

VII 進化

/偶然と必然/偶然をひきおこす豊かな源泉/種の安定性という《逆説》/進化の不可逆性と第二法則/抗体の起源/淘汰の圧力を方向づけるものとしての行動/言語と人間の進化/言語の最初の習得/脳の後成的発達過程中にプログラムされた言語の習得/
{・・・よく知られているように、チョムスキーとその学派によれば、人間のいろいろの言語は極度の多様性を呈しているが、言語分析を深く掘り下げてゆくと、これらすべての言語に共通なひとつの《形》が見いだされるという。この形は、チョムスキーによれば、先天的なもので、種としての特質を示しているものと見なすべきものである。この考え方は、一部の哲学者や人類学者を憤慨させたが、それはそこにデカルト的形而上学への復帰が見えるからである。しかし、私にとっては、その意味する生物学的内容が受け容れられるのであれば、この考え方はいっこう腹立ちのたねにはならない。それどころか、人間の皮質構造の進化は、ごく早い子供の時期にきわめて荒削りの状態で習得された言語能力によって、大きな影響を受けたはずだ、ということを、もし認めるならば、その考え方は私には、むしろ自然なものと思われるのである。以上のことが正しいということになれば、結局つぎの点も認めることになろう。すなわち、話し言葉は、それが人類の系統のなかに出現したとき、たんに文化の進化を可能にしたばかりではなくて、人間の”肉体的”進化にも決定的な仕方で寄与したということである。もしそうだとするならば、脳の後成的発達の途上に開示される言語能力が、今日の《人間性》そのものの重要な部分を作ってきたことになる。そしてその人間性はどうかと言えば、それは遺伝情報によって、遺伝暗号という本質的にまったく異なった言語で、規定されているのである。これはいったい奇跡なのであろうか。確かにそれは奇跡である。というのは、分析を突き詰めていけば、これも偶然の所産なのだからである。しかし、ジンジャントロプスなり彼の仲間のだれかなりが、ある範疇のことを言い表すために、なんらかの象徴的な話し言葉を始めて用いた日、彼はこの事実によって、ダーウィンの進化論を抱懐することのできる脳がいつの日にか出現する確率を飛躍的に増大させたのだということになる。}

VIII 未開拓の領域

/生物学的知識における現在の未開拓領域/生命の起源の問題/遺伝暗号の起源についての謎/もう一つの未開拓分野——中枢神経系/中枢神経の機能/感覚印象の分析/先天性と経験主義/模試の機能/二元論的幻想と精神の存在/

IX 王国と奈落

/〈人間〉の進化における淘汰の圧力/
{すでにのべたように、オーストララントロプスなり、彼と同時代のだれかほかの者なりが、それまでのように、具体的な自分の当面した経験だけではなく、主観的経験や個人的《模試(シミュレーション)》の内容までも表現できるようになった日から、あらたな治世、すなわち観念・思想の治世が誕生したのである。新しい進化、つまり文化の進化が可能となったのである。<人間>の身体的進化はそれからも長いあいだ続く運命をもっていたが、その時以来、淘汰の条件を完全に変えた言語の進化と緊密に結びつき、深刻な影響をうけたのである。
現代人はこの進化的共生の所産である。ほかのいかなる仮説を立てても、現代人がどうのようにして生じたかを理解することはできず、その謎を解くこともできない。・・・}
{・・・ネアンデルタール人が突如消滅したのは、われわれの先祖であるホモ・サピエンスが犯した集団殺戮の結果であるということも大いに可能性がある。それは最後の集団殺戮とは言えない定めにあった。その後の歴史上にもかなり多くの集団殺戮が知られている。
この淘汰の圧力は、人間の進化をどのような方向に推し進めることになったのであろうか。当然それは、知能・想像力・意志・野心などに恵まれた人種の勢力拡張に好適な作用を及ぼした。しかし、それはまた、個々の人間の勇気よりは団結力や群れの攻撃性のために、さらに自発性よりは部族の掟の尊重のために好適であったにちがいない。・・・}
/現代社会の遺伝的衰退の危険/思想の淘汰/説明の必要/神話的個体発生と形而上学的個体発生/物活説的《旧約》と現代人の魂の病いとの断絶/価値と知識/知識の倫理/知識の倫理と社会主義者の理想/
{・・・それでは、真実の源泉を、また真に”科学的”な社会主義的ヒューマニズムの道徳的霊感を、いったいどこに見つけたらよいのであろうか。それは科学そのものの源泉に求めるほかないではないか。それは、知識の基礎を形づくり、知識を自由選択し、それに最高の価値—他のすべての価値の基準となり、それを保証している—を与えた倫理のうちに求めるほかないではないか。社会的・政治的制度の基礎として、したがってまたこれらの制度のもつ正真正銘性と価値を測るものとして、知識の倫理を受け容れるならば、この倫理のみがよくわれわれを社会主義へ導いてくれることになるであろう。思想・知識・創造などの超越的《王国》の防衛と拡張と豊富化をめざす諸制度が、この倫理によって否応なしにつくられるのである。この<王国>は人間の心の中にあり、そこで人間は物質の拘束からも、物活説へのいつわりの隷従からも次第に解放されてきて、ついに正真正銘の生き方をすることができるようになろう。そのさい、彼を守っている諸制度は、人間が<王国>の臣民であると同時に創造者であることも認めて、そのもっとも比類なき、またもっとも貴重な本質のために奉仕してくれることになるに違いない。
これはおそらくユートピアであろう。しかし支離滅裂な夢ではない。この思想は、論理的に首尾一貫した力によって我々に迫ってくる。正真正銘性の探求は、必然的にこの結論に行き着くのである。旧約は破られた。人間はついに、自分がかつてそのなかから偶然によって出現してきた<宇宙>という無関心な果てしない広がりの中でただ一人で生きているのを知っている。彼の運命も彼の義務もどこにも書かれてはいない。彼は独力で<王国>と暗黒の奈落とのいずれかを選ばねばならない。}

ブログ主は思う。科学としての知識・思想なるものを選択?することがデストピアに通じる道であろうと(笑)。無理に選択することはない。両者をいかに折り合わせるかが永遠のテーマになるんじゃないかな。特に今は「科学」の暴走を食い止めるのが課題となっているように思う。

[付録]
1 タンパク質の構造
2 核酸
3 遺伝暗号
4 熱力学の第二法則の意味について

訳者あとがき

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