カール・マルクス「資本論 第1巻 III」
県図書館で借りました。
書名:資本論 経済学批判 第1巻 III
著者:カール・マルクス
訳者:中山元
出版:日経BP社(2012年5月)
《目次》(//内は訳者の付けた小見出し)
第4篇 相対的増殖価値の生産(承前)
第13章 機械類と大工業
第1節 機械類の発展
/機械の目的/機械と道具の違い/機械類の特徴/道具と機械のほんらいの違い/駆動力の供給源の変化/駆動力としての自然力/機械の成長/同種の機械の協業/機械システム/巨大な自動装置(アウトマート)/マニュファクチュアと大工業の関係/大工業の自立/
…資本制的に利用される…機械の目的は商品を安価に製造し、労働日のうちで、労働者が自分の生存のために使用する部分を短くし、労働者が資本家のために無償で働く部分を長くすることだった。機械は増殖価値の生産のための手段なのである。…
第2節 機械類から生産物への価値の移転
/機械の価値/規模の経済/機械類が移転する価値の大きさ/増殖価値のための機械/機械が利用される場合とされない場合/
第3節 機械の操業が労働者に及ぼす直接の影響
a. 資本による補助的な労働力の獲得。女性労働と子供の労働
/機械による搾取/機械による契約関係の変革/幼児の死亡率/工場での初等教育の義務化/
b. 労働日の延長
/資本としての機械の欲望/機械の損耗と労働日/労働日の延長の利益/機械の『初恋』時代と普及期/機械のパラドックス/
c. 労働の強化
/労働の長さから強度に/労働日を短縮した効果/労働力の強化方法/イギリスでの実例/10時間労働法以後/工場主の利益の改善と労働力の破壊/
第4節 工場
/自動機械としての工場/生ける部品としての労働者/労働者の規律/工場労働の物質的な条件/
…マニュファクチュアと手工業の時代には、労働者は道具を自分に奉仕させたが、大工業時代には、労働者は機械に奉仕する。マニュファクチュアと手工業の時代には労働者が主体となって労働手段が動かされたが、大工業時代には労働者は労働手段の動きにしたがわねばならない。マニュファクチュアでは労働者は一つの生けるメカニズムの肢体を構成していたが、工場では一つの死せるメカニズムが労働者とは別の独立した形で存在しており、労働者は生ける付属品としてこのメカニズムに組み込まれている。…
第5節 労働者と機械の間の闘争
/ラッダイト運動/マニュファクチュア時代の闘争/機械による労働者の駆逐/機械への叛乱/機械の改良の統計表/資本と科学/
第6節 機械類によって駆逐された労働者の補償理論
/補償理論/その批判/貧民化する犠牲者/資本の擁護者の弁明/機械の導入に関する絶対的な法則/産業分野の多様性の拡大/新しい産業での費用の増加/「奉公人階級」の増大/
…ある産業分野から放逐された労働者はたしかに、どこか別の場所で仕事を探すことができる。仕事がみつかれば、労働者と、彼らとともに放りだされた生活手段との絆がふたたび結ばれることになるだろう。しかしそのために役立ったのは投資先を探している新たな追加資本であって、以前から機能していて、今では機械類に姿を変えている資本ではない。
それにしても[新しい仕事をみつけた]労働者の将来はなんと危ういものであろうか。この哀れな人々は、分業のために不具になっていて、かつての働き場所から外に出るとほとんど無価値である。彼らは求人数が少なく、求職者であふれかえっている低賃金の底辺労働にしか、仕事をみつけることはできないだろう。…
…彼ら(経済学者)は、「資本制的な機械の利用と分かちがたく結びついている矛盾や対立などというものは存在しない。こうした矛盾や対立は機械類そのものから生まれるのではなく、機械を資本制的に使用することから生まれるものだからだ」と主張する。彼らによると、機械はそれ自体として考察すれば労働時間を短縮するが、資本制的に利用された場合には、労働日を延長する。それ自体としては労働を軽減するが、資本制的に利用された場合には、労働の強度を強める。それ自体としては人間が自然力を征服した勝利であるが、資本制的に利用された場合には、自然力によって人間を奴隷にする。それ自体としては生産する労働者の富を増すものであるが、資本制的に利用された場合には生産する労働者を貧民にするものである。…
…大工業の分野で生産力が異例なまでに高まると、その他のすべての生産分野でも労働力の搾取が内包的にも(強度も)外延的にも(時間の長さも)強化され、労働者階級のますます多くの部分を生産的でない用途で利用できるようになる。こうして「奉公人階級」という名のもとで、男女の召使、下働きの女性、従僕など、かつての家内奴隷たちがますます大量に再生産されることになる。…
第7節 機械経営の発展にともなう労働者の吸収と排除。木綿産業の恐慌
/経済学の「切り札」/機械経営の発展とサイクル/イギリスの木綿工業の歴史/木綿産業の歴史の総括/
…機械類は一方では、[原材料の制約を打破するために]、綿繰り機(コットン・ジン)が綿花の生産を増大させたように、原材料の供給を直接に増大させる。また他方では機械は、[販路と原料の制約を打破するために]機械で生産した製品の価格の安さと、運輸・通信システムの革新によって、外国市場を征服する武器となる。機械経営は外国市場の手工業製品を破滅させ、その外国市場を時刻の原料の生産場所に強制的に変えてしまうのである。…
第8節 大工業によるマニュファクチュア、手工業、家内労働の革命
a. 手工業と分業に依拠した協業の廃止
/協業と分業の廃止/
b. 工場制度がマニュファクチュアと家内労働に遡及的に及ぼす影響
/労働スタッフの構成の変化/
c. 近代的なマニュファクチュア
/過剰労働の実例/
d. 近代的な家内工業
//レース産業の実例/レース仕上げ部門/レース編み部門/藁編み産業の実例/
e. 近代的マニュファクチュアと家内工業の大工業への移行。 工場法がこれらの経営方式に適用されたことによる変革の促進
/工場経営への移行/服飾品産業の実例/ミシン革命/工場法の適用の影響/「自然の限界」の消滅/労働の不規則性/業務上の慣例/
第9節 工場立法(保険条項と教育条項)、イギリスにおける普及
/保険条項/教育条項/習熟過程の欠如/近代的な工業のもたらした革命と矛盾/親権への介入/工場法の一般化/規制内容/鉱山の規制/「青書」の証人尋問/視察官の不足/工場立法の一般化の帰結/
…ロバート・オーウェンの書物を読めば詳しく分かるように、未来の教育の萌芽は工場システムから誕生したのである。未来の教育では、ある一定の年齢になったすべての子供たちに、生産的な労働と授業と体育の両方を結びつけて課すべきである。しかもたんに社会的な生産の増大のための方法としてではなく、完全に発達した人間を作りだすための唯一の方法として、課すべきなのである。…
…機械類、化学的なプロセスおよびその他の方法によって、近代的な工業は生産の技術的な基盤を変革すると同時に、労働者の機能そのものを変革し、労働過程の社会的な結合を変革する。それによって近代的な工業は、社会の内部の分業につねに革命的な変化を生じさせ、大量の資本と労働力を、ある生産部門から別の生産部門へとたえまなく移動させる。そのため大工業はそのほんらいの性質によって必然的に労働を転換させ、機能を流動的なものとし、労働者が全面的に移動する可能性を作りだす。しかし一方では大工業はその資本制的な形態において、古い分業をその固定化された特殊性とともに再登場させるのである。
この絶対的な矛盾が労働者の生活からあらゆる落ち着きを奪い、安定感と確実性を破壊するものであることは、すでに確認してきた。この矛盾は労働者の手から労働手段をとりあげ、たえず生活手段を奪おうとする。労働者の一部の機能を無用なものとすると同時に、労働者そのものを不要な存在にしようとする。この矛盾は労働者階級の耐えざる犠牲のもとで、労働力を際限なく貪ろうとし、社会的な無政府状態のもたらす荒廃のうちで荒れ狂う。これが否定的な側面である。
しかし労働の転換が圧倒的な自然法則のもとで、いたるところで障害に出会いながら、自然法則の盲目的で破壊的な作用のうちで遂行されるならば、大工業はみずからの破局のうちに、次のことを認めざるをえなくなる。すなわち労働の転換において、労働者ができるだけ多面性を維持するようにすることを一般的な社会的な生産の法則として承認し、状況におうじでそれを正常に実現していくことは、大工業にとって生存をかけた重要な課題であるということを。
絶えず変動し続ける資本の搾取の要求にいつでも応じられるような窮乏した労働者人口を予備軍として維持するという異常な事態の代わりに、絶えず変動しつづける労働の要求にいつでも応じられるような人間の絶対的な適応性を育てていけるかどうか、たんなる社会的な細部の機能を担う部分個人ではなく、さまざまな社会的な機能を次々と担っていくことのできる完全に発達した個人を育てていけるかどうかが、資本にとって死活問題となる。
工学や農学の専門学校は、大工業の基盤の上で自然発生的に発達したこの変革プロセスの要素の一つであり、労働者の子弟がテクノロジーについて、さまざまな生産道具の実践的な使い方について学ぶ職業学校も、こうした要素の一つである。…
…労働者階級の身体的および精神的な保護の手段として、工場立法の一般化が避けがたいものとなると、すでに述べたように他方ではこれは、分散された小規模な労働過程が、大きな社会的な規模で結合された労働過程に変わっていく過程を普遍的なものとし、促進することになる。それによって資本の集中と工場体制の独裁が普遍的なものとなり、促進されるのである。
この工場立法の一般化のプロセスは、資本の支配がまだ部分的に隠されていたすべての古い形態と過渡的な形態を破壊し、その代わりに直接的で隠れることのない資本の支配を確立する。そこで資本の支配にたいする直接の闘争も普遍的なものになるのである。工場立法が一般化されると、個々の作業場における均質性、規則性、秩序、経済性が強制されるが、その一方では労働日の制限と規則を技術によって克服しようとする巨大な刺激をもたらすとともに、全体としての資本制的な生産の無秩序と災厄を深刻なものとする。そして労働の強度は高まり、機械と労働者のあいだの競争が激化することになる。
これによって小規模経営と家内労働の領域が破壊され、「過剰人口」の最後のはけ口が失われ、それまで社会的なメカニズムの全体にそなわっていた安全弁が破壊される。それは生産過程の物質的な条件と社会的な結合を成熟させ、それとともに生産過程の資本制的な形態のうちに孕まれていた矛盾と敵対関係を成熟させる。このプロセスは新しい社会の形成要因と、古い社会の変革要因の両方を同時に成熟させるのである。
第10節 大工業と農業
/大工業がもたらした農業の変革/
…農業における機械の利用は、工場労働者に発生するような身体的な危険性は伴わないが、いずれさらに詳細に検討するように、労働者の「余剰化」をさらに集中的に促進し、しかも労働者からの反発を招かないという特徴がある。…
第5篇 絶対的増殖価値と相対的増殖価値の生産
第14章 絶対的増殖価値と相対的増殖価値
/生産労働の概念の拡大/生産的な労働者の概念/絶対的増殖価値と相対的増殖価値/中間段階/増殖価値を向上させる方法/増殖価値の自然的な基盤/労働の生産性と自然条件/自然の社会的な制御/古典経済学者の増殖価値の理論/
…このようにして労働過程そのものが協業的な性格を獲得していくと、必然的に生産的な労働の概念が拡大されることになり、その労働の担い手である生産的な労働者の概念も拡大していく。今や生産的に労働する者がつねにみずから手を下す必要はなくなる。<全体労働者>の一つの<器官>となり、その下位の機能の一つを担当すれば十分なのである。すでに述べた生産的な労働のほんらいの規定は、物質的な生産そのものの性格からえられたものであり、全体としてみれば<全体労働者>に依然として該当する。ただし<全体労働者>を構成する個別の成員については、もはやこの規定は該当しない。
他方では、生産的な労働の概念は狭められる。資本制的な生産はもはやたんなる商品の生産であるだけではなく、本質的に増殖価値の生産となっている。労働者は自分のために生産するのではなく、資本のために生産する。このため労働者がそもそも何かを生産するだけでは十分ではない。労働者は増殖価値を生産しなければならない。労働者が生産的であるのは、資本家のために増殖価値を生産する場合である。すなわち資本の自己増殖に役立つ労働者だけが生産的な労働者なのである。…
…ひとたび資本制的な生産が前提となると、他の条件が同じで、労働日の長さが決まっているならば、増殖労働の大きさは労働の自然条件、とくに土壌の肥沃度によって決まるだろう。しかしその反対は正しくないのである。もっとも肥沃な土壌が資本制的な生産様式の成長に最適であるということにはならない。資本制的な生産は、人間が自然を支配することを前提とする。あまりに潤沢な自然は「子供を歩行器につなぐように、人間を自然の手につなぐ」のである。このような自然のもとでは、人間が発展することは自然の必然的な法則にはならない。植物が繁茂する熱帯の気候ではなく、温帯こそが資本の母国である。土壌の絶対的な肥沃さではなく、土地の分化、すなわち土壌からえられる生産物の多様性こそが、社会的な分業の自然な土台となる。この多様性が刺激となって人間はみずから生息する自然環境を変え、みずからの欲望、能力、労働手段、労働様式を多様なものとするのである。…
第15章 労働力価格と増殖価値の量的な変動
/労働力の価値を決定する要因/
第1節 労働日の長さと労働の強度が不変量で(与えられた量)、労働の生産力が可変量である場合
/労働力の価値と増殖価値を定める第一の法則/第二の法則/第三の法則/リカード理論の欠陥/
…第一の法則。労働の生産性が変化し、それによって個々の製品の量や価格が変化したとしても、与えられた長さの労働日はつねに同じ価値生産物を生みだす。…
…第二の法則。労働力の価値と増殖価値は逆の方向に変化する。労働の生産力の変化、その増減は、労働力の価値の増減と反対の方向に変化し、増殖価値の増減と同じ方向に変化する。…
…第三の法則。増殖価値の増減はつねに、それに対応する労働力の価値の増減の結果であって、その原因ではない。…
第2節 労働日と労働生産力が不変で、労働の強度が可変である場合
/強度の増大と、生産物および労働力の価格の関係/国ごとの違い/
第3節 労働の生産力と労働の強度が不変で、労働日が可変な場合
/労働日が短縮される場合/労働日が延長される場合/
第4節 労働時間の長さ、労働の生産力、労働の強度が同時に変化する場合
/分析方法/労働の生産力が低下し、労働日が延長された場合/労働の強度と生産力が増加し、労働日が短縮された場合/
第16章 増殖価値率のさまざまな定式
/マルクスの定式/古典派経済学の誤った定式/第三の定式/
…したがってアダム・スミスが指摘したように、資本は労働にたいする指揮権(コマンド)であるだけではない。本質的には不払労働にたいする指揮権なのである。あらゆる増殖価値は、それが後に利潤、利子、地代など、さまざまな特殊な形態に結晶したとしても、その実体は不払労働が物質化したものである。資本の自己増殖の秘密とは、ある量の他者の不払労働を資本が自由に処分できるということにすぎないのである。
第6篇 労働賃金
第17章 労働力の価値または価格の労働賃金への変容
/「労働の価値」という概念の矛盾/古典派経済学の誤謬/労働賃金に示された労働力の価値と価格/奴隷労働と賃金労働の違い/労働賃金の現象形態/
…ある商品の価値はそもそも、その商品に現実に対象化されている労働の量によって決まるのではなく、その生産に必要な労働の量によって決まる…
…ある商品が六時間の労働時間を表現しているとしよう。さまざまな発明のおかげで、この商品が三時間で生産できるようになったとすると、すでに生産されている商品であっても、その価値は半減する。かつての六時間ではなく、今はその商品の表現する社会的な労働時間は三時間にすぎない。このように商品の価値の大きさを決定するのは、その生産に必要とされる労働の量であり、その商品に対象化された労働の形態ではないのである。…
…古典派経済学は、いかなる批判もせずに日常生活から「労働の価値」というカテゴリーを借りてきて、それからこの価値がどのようにして決まるのかと考えた。しかし古典派経済学はやがて、需要と供給の法則では、他のすべての商品の価格と同じように、労働の価格を決定できないことに気づくことになる。需要と供給の関係の変化で説明できるのは価格の変動だけなのであり、市場価格がある一定の水準よりも上あるいは下に変動する理由を説明できるだけなのである。需要と供給が一致すれば、他の事情が同一ならば、価格の変動はとまる。しかしそうなるともはや需要と供給の関係では何も説明するものがなくなってしまう。需要と供給が一致すれば、労働の価格は需要と供給とは無関係に決まる自然価格になる。そしてこの自然価格こそが、そもそも分析すべきものだったことが発見されたのである。…
…賦役労働であれば、賦役労働者が自分のために行う労働と、領主のために行う強制労働は、空間的にも時間的にも、感覚的に明確に区別されている。奴隷労働においては、奴隷が自分自身の生活手段の価値を作りだしている労働日の部分、すなわち奴隷が実際には自分のために働いている労働日の部分までもが、その主人のための労働として現れる。奴隷のすべての労働は、不払労働として現れるのである。
これとは逆に賃金労働という形態にあっては、増殖労働すなわち不払労働も、支払労働として現れる。奴隷労働においては所有関係によって、奴隷が自分自身のために働いていることが隠蔽されるが、賃金労働では貨幣関係によって、賃金労働者が無償で働いていることが隠蔽されるのである。…
第18章 時間給の賃金
/時間給の賃金とは/時間給の計算方法/労働価格の変化と賃金の変化/一般法則/過少就労の問題/標準労働日システム/労働日の長さと労働賃金/競争のもたらす効果/パン屋のあいだの競争/
第19章 出来高賃金
/出来高賃金と時間給の賃金/出来高賃金の不合理さ/出来高賃金の性格/資本制的生産との適性/
…このシステムには二つの基本形態がある。出来高賃金ではまず、資本化と賃金労働者のあいだに寄生者が入りこんでくるのが容易になり、仕事の下請けが行われやすくなる。この中間に介入した人の利益は、資本家が支払う労働価格と、介入者が実際に労働者に支払う価格の差額である。…
…出来高賃金の額が決まっていれば、労働者の個人的な利益は、自分の労働力をできるだけ集約的に行使することによって生まれるが、資本家にとってはこれで、労働の標準強度をたやすく高めることができる。また労働日を延長することは、労働者の個人的な利益ともなる。それによって日給または週給が高くなるからである。かりに出来高賃金が変化しなくても、労働日が延長されるならば、それじたいがすでに労働価格の低下をもたらす。しかしそれを別としても、時間給の賃金のところで述べた反動がここでも発生する。
第20章 国による労働賃金の格差
/国ごとの賃金の比較の前提/国ごとの賃金の比較/賃金の比較データ/国家の介入/
…この運動法則の内部で変化する組み合わせが、異なる諸国のあいだでは、国ごとの労働賃金の同時的な格差として現れる可能性がある。そのため国ごとの労働賃金を比較する際には、労働力の価値の変動を決定するすべての要因を考慮にいれる必要がある。たとえば自然的あるいは歴史的に発展してきた第一次生活必需品の価格と規模、労働者の教育費、女性労働や子供の労働の役割、労働の生産性、労働の外延的な大きさ[すなわち長さ]と内包的な大きさ[すなわち強度]などである。…
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- 石母田正『日本の古代国家』(2022.06.30)
- モース『大森貝塚』(2022.06.19)
- トレルチ『ルネサンスと宗教改革』(2022.06.16)
- 小熊英二『私たちはどこへ行こうとしているのか』(2022.06.11)
- ウンベルト・エーコ『歴史が後ずさりするとき』(2022.06.07)
Comments